最新のお知らせ パートナー 2020.02.27

【パートナーインタビュー記事】「雇い方改革」で、会社と働く人がお互いに許容し合える世の中へ。社外人事部長の役割とは?

at Will Workのパートナー企業様」を紹介する連載第3弾!

at Will Workのパートナーの皆さまは積極的に働き方に関する取り組みを行われています。「働き方の選択肢を広げる」ために各パートナーの取り組みを、より多くの方に知っていただくべく、各社の取り組みをご紹介していきます。ぜひご覧ください!

アウトオブボックス株式会社

人事歴30年の経験から、コンサルティングの枠を超え人事総務業務全般のプロデュースを行う。固定概念に囚われないことを大切にし、中小企業に寄り添いながら、サポートを行う企業である。「働き方改革」は会社の社員に対する方針が定まっていなければ、何も変わらないという考えから、「雇い方改革®︎」が必要であると提唱。

▲今回お話を伺ったのは、 代表取締役 森 孔宏

■会社の立場から「働き方改革」を考える、「雇い方改革®️」とは?

ー森さんが行なっている事業を教えてください。

メイン事業は企業向けの人事プロデュース事業です。小さな会社だと人事部そのものがなくて、社員を人事面からサポートできる部署や人材がいないということが多々あります。そういった時に、私が外部から人事部として参加し、お手伝いしています。

言い方を変えると、「人事部がない会社の人事部長」です。

ーイメージとしては、社外人事部長ですね。

森さん自身が人事という役割に対して思い入れを持たれていると思うのですが、事業を始めたきっかけは何があったのでしょうか。

私は独立する前、30年間ずっと企業の中で人事をしていました。

いくつか会社を転職していて、業界も何度か変わったのですが、転職する度に「うちの会社はこうだ」「うちの業界はこうだ」という決まりがあって、新しい提案をする際に受け入れてもらえない場面がよくありました。

外資の会社で働いていた時は、海外にある本社や支社の社員との接点が増え、海外の支部での面白い取り組みを日本でも取り入れたいと思い提案すると、反発が起こることも多々ありました。

過去を振り返ると、昭和の高度経済成長期を支えた昔の方々は、他国に負けないよう、ゼロから今の日本の土台を必死に作り上げてきました。そういうチャレンジの結果、経済を大いに発展させ、平成の時代を迎えました。平成になってからは、今あるものを壊さないように「守る」時代になったような気がするんです。

私が過去、仕事でぶつかった変えられない壁は、そういう時代の流れが大きく関係していると思っています。

チャレンジより「守り」に入ってしまう会社の姿勢を、人事という立場からずっと見てきました。だから私は、その概念自体を変えていきたいと思ったんです。

ちょうどそんな時に、「働き方改革」という言葉が出てきて、この言葉をヒントにして仕事をしよう!と思い、独立しました。

▲アウトオブボックス社の経営理念

ー「働き方改革」という国の施策が後押しになったのですね。

はい。働き方改革という言葉が出てきた時に、自分たちの会社はブラック企業なんじゃないか?とか、これはハラスメントではないか?など、今までの日本の社会であれば、当たり前のように我慢をして、黙って乗り越えてきたことが、実は正しくないこともあるのだ、と人々が気づき始めました。

そういったきっかけにより、会社は多くの変化を求められるようになりました。私がその時感じたのは、会社側が社員の声を聞いて働き方を変える前に、会社としての社員の雇い方のスタンスを決めないと対応できないということでした。

なぜなら、いくら社員の声が上がっても、最終的に働き方や方針を決めるのは会社だからです。

例えば、親は「これしたい」「あれしたい」という子供の意見に寄り添って、毎回自分の家の方針を変える、ということはしないですよね。

社会の中で、一番小さな集合体が家族で、一番大きな集合体が会社だと考えたら、今起こっていることは、家で子供が親に文句を言ってることと一緒だと思ったんです。

今までは黙っていなきゃいけない、と思ったから、会社にも言えなかったけれど、たまたま国が言い出したことをきっかけに社員も色々なことを発言出来るようになった。社員たちが言ってることは間違っていないけれど、実際に決めて実行していくのは親、つまり会社側なんですよね。

ー社員の声を全て叶えるということも難しいですもんね。

経営者は会社の中では年長者であることが多いので、会社に文句を言う人は辞めさせるという昔の考え方が残っている人も多いんです。でも今は労働人口も減っているし、そんな簡単に人は見つからない。そのスタンスを変えていかないといけないと思ったんです。そして、会社のスタンスを、経営陣も従業員もお互いに理解できた上で、雇うこと・働くことが何よりも大切だと思いました。

それらを伝えるために何かキャッチフレーズがあるとわかりやすいと思い、「働かせ方」、「働いてもらい方」、、、様々な表現を考えましたが、上から目線な感じがしたり、媚びている感じがしたり(笑)なかなかいい表現が見つかりませんでした。

そして最終的に、行き着いたのが「雇い方改革」という言葉。社長は雇い入れている方だから、雇い方という表現をすれば、働き方の対義語として使えると思いました。

雇い方改革®︎について

ー確かに、会社側の目線から「働き方改革」を考えられている人は少ないかもしれないですね。

うちの雇い方はこうですよ。と会社がはっきり言う事が出来れば、雇い方=働き方でマッチした人が勤務できるし、そこでマッチしない部分があったら、話し合って解決していく。そうすればお互いが気持ちよく働けるんじゃないかなと思います。

ー採用や人事をサポートをされる際は、どんなことを大切にされていますか。

私が一番大切にしていることは会社側の経営陣に社員は皆一人ひとり違うということを理解してもらうことです。個人皆それぞれ人生の目的も違います。

「みんな違う」という前提で仕事ができたら、会社や働く人の姿勢はいい意味で変わると思うんです。

しかし、現代は自分以外の誰かと関わらなくても仕事ができるから、最小限の業務で決められた言葉以外喋らないようになってきています。

ですので、お互いが話し合って理解し合えるようなコミュニケーションの場を作ることも人事の役割だと思っています。

一なるほど。では、個人を理解するために、具体的にどんなことをされているのですか。

私が最初に使うのは性格分析です。入社時に実施する会社も多いと思うのですが、その後分析結果って意外に社内で使われていないですよね。

社内で人間関係にトラブルがあった時でも、お互いの性格が分かっていれば、違うアプローチで解決できる方法があるはずなのに、ぶつかり合って終わってしまいます。昇進の審議やトラブルがあった時も、性格診断を有効活用すれば、いい答えが導けることが沢山あります。

性格分析のツールにもこだわっており、具体的にはパソナさんが提供している「PAT分析」を活用しています。

日本人向けであることや、性格は変わるという考えから定期的に受検が可能なこと、提供側と私の考え方がマッチしていることなど、私自身のこだわりたい部分が多く加味されています。

実際に、性格分析を用いて、離職者を格段に減らすことが出来ました。主に、診断された性格を参考に、チーム編成を行ったり、メンター制度を導入したりすることで、より良いコミュニケーションが生まれ、結果的に離職率の低下に繋げることができました。

ー森さんが相談を受ける会社はどんな課題を持っていることが多いでしょうか。

よく「いい人が見つかりません」「いい人が辞めちゃうんです」「辞めさせたい人がいるんです」とご相談をいただきます。特に、辞めさせたい人がいるという場合は、その人に100%の責任があるのではなく、そういう会社の文化が問題なのだと伝えています。

入社した時には一番活躍を見込まれていた人が、何年かしたら要らない人材になって、辞めてもらいたいと言われている。

働く人を、機械のように考えて使っている会社が、これに多く当てはまりました。それでは良い人も採用できないし、会社としても伸びないので、そういった風潮や文化を変えられるよう、僕が入ってお手伝いをしています。

ー今までで印象的だった事例はありますか。

私が「雇い方改革」に着手して自身で一番感動した事は、採用の過程で、面接に対する考え方が変化した会社が多かったことです。

採用を苦手とする会社は、面接の回数も少ないし、質問も的外れで一方的な気がします。小さな会社だと、採用の経験が少ない場合が多いので、私の採用経験を余すところなく伝えていきました。

その時に大切にしていることは、入社をする段階から、社員が卒業することを前提に考えるということです。新入社員で入っても、50年後今の会社があるかわからない。こういう形でキャリアアップできますよ、とか、マネージャーになるためにはこういう経験を積まないといけないね、とか、卒業後はこんな道がありますよ、というキャリアイメージを会社が具体的に伝える事ができるようになれば、自然と人は集まります。社会や働く人の未来まで見ている会社こそ良い人を採用できると思うんですよね。

■人事の仕事が無くなる社会を目指して。人事プロデューサーが考える、会社の未来。

ー森さんは、会社の表面ではなく、根本の大事な部分から本質的に変えようとプロデュースされていることが伝わってきました。

では、働き方に関して、強い想いを持っていらっしゃる森さんが、at Will Workパートナー会員に所属して感じたメリットはどんなところですか?

at Will Workに参加している企業さんとお会いすると、色んな会社の状況を内側と外側から見ることができ、理解が深まるので、社会の変化や多様化・働き方改革にアンテナが高い方々との出会いがあることがいいなと思っています。

また、at Will Workは、上下関係なく同じ目線の仲間がいて、尚且つ、バックキャスティングの発想で5年という区切りがあるところも好きです。

5年後に実現したい姿を作って、そこから逆算して行動を起こしていく。その理想に対して妥協せずに無駄なく進んでいく考え方がいいなと思いました。

ー今後 at Will Work に期待していることは何ですか?

今at Will Workには沢山の働き方に関する成功事例が集まっていますが、その事例が、二次利用、三次利用されて初めて価値があるものになると思うんです。at Will Workに集まった沢山の働き方のナレッジが他の企業でも転用され広がっていくことが、面白いサンプルになると思っています。

ですので、面白い取り組みに対してインスパイアされるきっかけを作るような場をもっと増やしていって欲しいなと思います。

Work Story Award 2018で受賞した一般社団法人INTO THE FABRICの取り組み「100人カイギ」を森さんご自身も取り組みとして行い、良い取り組みを汎用させていくチャレンジを行っています。

ー森さんご自身は今後働き方についてどんなアクションをしていきたいですか。

副業やパラレルワークについて、会社と働く人、双方がもっと正しく理解すべきだと思っているので、そこに対して何かアクションをしていきたいです。

企業側からすると、副業と言っても何をするのかわからない。働く側からすると、終身雇用がないから不安になる。両者ともマイナスな部分を取り上げているのが現状で、プラスになるポイントに着目されてないんです。

副業やパラレルワークによって、沢山の選択肢が増えるので、その中から様々な可能性をお互いに見極めていましょうね、という風に話し合えるようにしていきたいです。

ー今後、森さんが事業をされた結果、どんな社会が実現することを目指していますか。

最終的には、人事の役割がいらないような社会になって欲しいです。

人事の仕事がAIに取って代わられていく中で、最後に残るのはコミュニケーションのサポートの部分。でもコミュニケーションのサポートが無くても問題が無いようになれば、人事の仕事はいい意味で無くなるし、それが最終的には良い社会だと思います。

そのためには固定概念を持たないことが大切で、許容して認め合えることが重要です。

「許して受け入れる」という許容の概念には、「正しい」とか「間違っている」という概念はありません。お互いが異なっていることを受け入れた上で、どんなことにも柔軟に対応できて初めて、よりハッピーな社会になります。そんな世界になれば、誰でも目的や目標が持ちやすくなる。そういう人が溢れる社会になったら面白いんだろうなと思います。