最新のお知らせ イベント 2021.07.09

【開催レポート】at Will Work主催オンラインセミナー 「人材政策」持続的企業価値を創造する人的資本経営に向けて(後半)

パネルディスカッション 〜昨今の動向、今後の展望など〜

片岸氏にお話しいただいたのち、人材政策についての昨今の動向と今後の展望について、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 アソシエイトディレクター 田中 公康 氏と、at Will Work理事の日比谷 尚武を交えパネルディスカッションを行いました。(前半の内容はこちらから)

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日比谷:人材のような無形資産にスポットが当たるようになってきたということですが、市場における投資判断の傾向も変わってきているのでしょうか?

片岸氏:はい。実際、気候変動やグリーンへの投資、ESG投資への興味も上がってきています。アメリカ証券取引所のSECでは、人的資本の開示が義務化され、海外の投資家は情報を開示するようになりました。しかし、問題もあって、情報を伝える姿勢、例えばワード数が少なかったり、ストーリーラインが整えられていないなど日本のみならず海外でもそういったことが起こっています。情報を出せばいいというものではなく、情報を有効に伝えられた企業に投資が集まっていくような流れになっています。

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日比谷:企業評価に関するトレンドの変化は理解しているけれど、人材戦略に関して具体的にどうアクションをしたらいいのかわからない、ハードルが高い、と思っている企業もあるかと思います。その辺りはどうお考えですか?

片岸氏:人材戦略の取り組みは一朝一夕でできるものではないですし、人の成長には時間がかかるものなので、人事部や経営層は腰を据えた取り組みになる覚悟が必要です。全てを一度に改善するのは難しいので、少しずつ改善し、プロセスを積み上げていくことが大切になっていくと思います。田中さんは企業のコンサルをされていますが、実際企業の方の声や様子はいかがですか?

田中氏:人事部のミッションが労務管理寄りになってしまっている企業が多いと感じます。人事部のミッションをより戦略的なものに位置づけていくためには、業務の自動化(アウトソーシング)を積極的に行い、経営・事業戦略に寄与する企画業務に注力できる体制を作らなければいけないと思っています。

また、時代が変わり、キャリアの作り方に対する考え方が変わってきているので、多様なタレントを集めるためにも、今までとは異なったパーパス(ぶれない軸=大義)や吸引力が必要になってきているのではないかと思います。

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その中で、キャリアについて大きな世代間ギャップが生まれていると感じるのですが、片岸さんはどう感じておられますか?

片岸氏:変革のための企画立案は若い人のチームであることが多いのですが、その上の世代の最終承認を得られないという話もよく聞きます。それが悪いわけではなく、お互いの考え方を十分に理解するだけのコミュニケーションが取りきれていない場合が多々あります。

学び直しの例ですと、上の世代の方は、「定年まであと数年なのに学び直しをする必要があるのか?」と思う方もいらっしゃると思います。しかし、フリーランスという働き方も最近話題ですが、スキルを活かして働ける選択肢があることなどを考えると、学ぶとことにメリットを感じていただけると思います。その時に、会社の論理だけではなく、個人の活性化も考えているということを納得してもらえるようにすることが重要です。現代の日本、特に若い世代では、リスキルをしないとチャンスが掴みづらくなっていることも事実だと思います。

日比谷:一方で、外部環境の変化により再チャレンジする機会が増えるという意味では、機会の平等さは均等になっていくかもしれませんね。では、政策の実現のため、国として今年はどんなアクションを行う予定でしょうか?

片岸氏:今年も、関係省庁にも参画をしていただきながら検討会を行っていく予定です。

現在、コーポレートガバナンスコード改定の議論を行っています。その中で、人材政策の重要性や人的資本投資の重要性について言及がされているのですが、その内容が外に発信されていけば、それに基づいた開示や報告書が必要になっていきます。そのため、実際にどう取り組んでいけばいいのかというきっかけ作りやコミュニケーションを国として行っていく予定です。

また、良い取り組み事例を広めていく活動も行っていきたいと考えています。政策の価値観や方向性は分かったけれど、実際にどうアクションを行えばいいのかわからないという方も多いので、良い事例を発掘し、発信していきたいと思っています。

この良い事例の発掘のためと併せて、企業の経営層や人事部で改めて自社の人材戦略について議論していただくために、人的資本経営に関する調査とその結果のフィードバックも行いたいと思っています。自分たちの取り組みを客観視し、改善点が見つけやすくなることで具体的な取り組みにつなげやすくしていきたいと考えています。

すでに、人材確保等促進税制を整備し、採用や学び直しに対して積極的な企業に対して税制上の優遇がなされるような仕組みも導入したところです。

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田中氏:今回の内容は新しい流れだと思うので、私個人としてはまずは経営者の方に理解していただきたいなと感じます。そのうえで、変革をリードしていくのは中間層なので、こういった捉え方を理解し行動に移していただくともっと日本が良くなると思います。

片岸氏:ビジネスの根幹は人と人なので、人材戦略は非常に大事な部分です。すべての企業や人が考えていかないと良くならないものですし、国がこうやってくださいと押し付けるものよくないので、国が後押しをするような形で、日本全体として腰を据えて長く取り組んでいけたらいいなと思っています。

日比谷:本日は貴重なお話をありがとうございました!

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次回オンラインセミナーのお知らせです。

7月9日(金)15時〜16時 at Will Work主催オンラインセミナー vol.2

「企業カルチャー」データから見る"企業カルチャー発信"の実態とこれから

https://www.atwill.work/events/2021/286/

8月2日(月)、9日(月)15時〜16時 at Will Work主催オンラインセミナー vol.3

「変わりゆく働き方の未来」これからの働く場所・組織のあり方を考える

https://www.atwill.work/events/2021/295/

ご参加お待ちしております!