最新のお知らせ イベント 2021.11.25

【開催レポート】都心部以外での働き方改革の実態

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2021年10月7日、10月14日にat Will Work主催のオンラインセミナー 『都心部以外での働き方改革の実態』を配信しました。
2021年度は、様々なゲストをお迎えし、隔月でオンラインセミナーを開催いたします。

Vol.4は「都心部以外での働き方改革の実態」をテーマに開催。

都心部以外の企業では都心と同じように働き方改革は進んでいるのか、また、都心部と違った課題はどのようなものがあるのか。都心部以外の企業の働き方改革についてリアルな実情をお届けしましました

本セミナーでは、株式会社ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員 石崎 真弓 氏、パナソニック株式会社 課長 木所 昭彦 氏、株式会社楓工務店 代表取締役 田尻 忠義 氏をお迎えしお話を伺いました

▼本セミナーのアーカイブ動画はこちら
https://youtu.be/y_luwgC3V-k

まず初めに、株式会社ザイマックス石崎氏より、データから見る「地方の働き方改革の推進状況」に関する現状についてお話しいただきました。

ザイマックス不動産総合研究所では、半年に一度オフィスを持つ企業様に対しアンケートを行い、働く場の変化を調査しています。

・出社率の制限について

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石崎氏:まず、都市別の出社率についてです。

東京では、出仕率を4割未満に抑えている企業が3割と他都市に比べて多くなっており、8割はコロナ収束後も出社を100%には戻さず、テレワークを継続した働き方を行っていくとしています。

地方都市に関しては、実態・コロナ後の意向どちらに関してもレ社を前提としている企業が東京に比べ多い状況です。これは東京に比べ、平均の通勤時間が短く、出社ストレスが少ないことも影響していると考えられます。

また、感染状況の差からも地方の方が感染リスクが低いために対策がしやすく、出社に切り替えやすいという要素も影響していると言えます。

テレワークの"場"の整備状況について

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石崎氏:次に、テレワークの場の整備に関する状況をみると、東京に限らず、地方都市でも企業のサテライトオフィス、シェアオフィスサービスに対するニーズが今後増えることがわかります。

・ハイブリッドな働く場の施策について

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石崎氏:これらの調査結果から、コロナ後は多くの企業がテレワークと出社のハイブリッド型の働き方を推進していくことが予想されます。サテライトオフィスや在宅など多様な働く場を整備することと、一方でコミュニケーション機能を強化するなどメインオフィスの機能を見直すことも必要になります。テレワークにより全員が毎日出社しなくなるため、オフィス面積を縮小するケースも見られています。

・コロナ禍で分かれる企業のワークプレイス戦略

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石崎氏:現段階で企業のワークプレイス戦略は3つに分かれると考えています。

まず、ハイブリッド推進派はコロナ禍以前から働き方改革に積極的に取り組んでいる企業が多く、コロナ禍を機にさらにテレワークの推進とオフィスの見直しを進めようとしています。

また、慎重、様子見派はコロナを機に在宅勤務に取り組み始めた企業が多いので、まだ課題感も高いです。しかし、自社で分析を積極的に行うなどポジティブに取り組みを進めている企業も多く、ハイブリッド推進型に移行していく傾向も見られます。

そして、オフィス回帰派は、現状仕方なくテレワークを導入しており、コロナ禍収束後は出社に戻してしまおうと考えている企業です。無理やり一律に出社に戻すのは、社員のモチベーション低下や離職率が上がるなどのリスクに繋がりかねないので、気をつけなければいけません。

石崎氏の話から、働く場の形が多様になることで、新しい時代のワークプレイス戦略が生まれていることが明らかになりました。

続いて、大阪に本社を構え、全国に拠点を持つ、パナソニック株式会社 課長 木所 昭彦 氏にパナソニックグループでの働き方改革についてお話いただきました。

・パナソニックの働きがい改革

パナソニックグループでは、働き方改革ではなく、働きがい改革と称し推進しています。コロナ禍に関わらず、昔から様々な改革を行ってきた同社ですが、2018年の創立100周年を機に大きなプロジェクトが動き出しました。

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木所氏:一人一ひとりが働きがいを持って働くために、弊社では三つの観点から働き方の整備を行いました。一つ目は、「上司と部下のコミュニケーションを大きく変えること」二つ目は、「多岐にわたる部署間の横のつながりを作りコラボレーションを生むこと」三つ目は、「制度や環境を変えることで人づくりをサポートすること」です。私は三つ目の制度や環境の改革を担当しています。直近では、「脱スーツチャレンジ」を行ったり、オフィス改革を行ったりしてきました。

木所氏が担当されたオフィス改革では働きがいが生まれるオフィスとしてリニューアルするため、様々な斬新な施策が行われました。

木所氏:製造部門の社員が事務所に入りにくいという課題があったため、工場ラインのすぐ横にコミュニケーションが活性化するようなオフィススペースを設けて入りやすい空間を作りました。また、コロナにより自社の研修施設が遊休化していたため、サテライトオフィスとして再運用するなど様々な改革を行いました。また、施策の一つとして社内にスターバックスを誘致したのですが、これはかなり大反響でしたね(笑)

取り組みを全拠点に浸透させるため、大企業ならではの工夫も必要だったと木所氏は言います。

木所氏:私たちは拠点をたくさん持っています。そのため、全拠点で一斉に始めるのは難しいと考え、まずは1つの拠点で先行事例を作り、導入や運営に至るプロセスを整えていきました。そして、そのプロセスを徐々に各拠点に共有していくという方法で進めていきました。

続いて、奈良に拠点を構える株式会社楓工務店 代表取締役 田尻 忠義 氏に働き方改革についての現状を伺いました。

田尻氏:弊社はコロナ前からテレワークに取り組んでいたため、コロナ禍で全社員テレワークになった際もスムーズに移行することができました。新卒社員が2/3と多くの割合を占めるため、数年経つと結婚や出産などライフスタイルの変化から会社を辞めざるおえない社員も出てきてしまいます。そういった環境の変化で会社を辞めずに社員として活躍してもらえるよう、テレワークの制度を整えています。

また、働きやすい環境を整えるだけでなく、"働くことで本人が成長している実感や必要とされている実感を感じられること"を重視した働き方を大切にしています。

地方に本社を置く両社。都心部に比べ働き方改革の浸透度は大きく差があります。では、どのような意識を持って働き方改革を進めてきたのでしょうか?

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木所氏:私たちは2〜3年スパンで改革を常に行っています。そのため、地方だから、コロナだからという外部環境は特に関係ありませんでした。在宅勤務の制度も介護や育児の方の活用を目的として2011年ごろにはできており、コロナを機に社内で一気に進んだという感覚です。

田尻氏:会社を運営していると、常に働き方に関わらず様々な課題が山のように出てきます。それらを一つずつ解決していく中で得た気づきや発見がルールや制度として形になっていっています。例えば、県外で打ち合わせに来ることが難しいお客様がいらっしゃった際に、初めてオンラインでの打ち合わせを実施してみました。意外と難なく行えたことからオンラインでも打ち合わせはできるという気づきがありました。コロナに関わらず課題があった際に解決していく過程で様々なノウハウが生まれていっています。

次に取り上げられたのは社員の不公平感について。「現場社員とオフィスワーク社員が在籍するパナソニックグループでは、社員の不公平感が生まれてしまうことがないのか?」という疑問について木所氏に回答いただきました。

木所氏:テレワークを実際にしてみて、不公平感はそんなにありませんでした。現場社員が在宅が羨ましいと思っている訳でもないですし、逆も然りでした。様々な働き方の社員が入り乱れていると、1〜2年も経てばそれが普通になり不公平感は無くなるのだと思います。

積極的に働き方改革を進める両者の話を聞き、石崎氏からは「上層部にテレワークを提案しても承認が下りない場合、どのように説得すべきか?」という質問が。この質問に対し、田尻氏からは働き方改革の本質に触れた回答がありました。

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田尻氏:テレワークをするしないの議論よりも、それをすることがどう社員のために良いのかということが伝えられなければ説得は難しいと思います。時代に合わせて変えなければいけないという強迫観念ではなく、社内の課題を解決するために何が必要か、本当に必要かを議論することが大切です。

一方で社員に受け入れてもらうためにはスタッフ一人一人がやりがいを感じていて、自分の会社の価値に共感できている状態が前提にないと会社が決めたことに従うことでの働きがいは生まれないと思います。

地方を拠点にしながらも、都心部に劣らず働き方改革を行ってきた両社の特徴は、働き方改革というより、働きがい改革として常に課題を解決し続ける企業風土があることでした。新しい情報や流れについていくことが重要なのではなく、今の自分たちにはどの選択が最良かを考え続けることが大切なのだとお二人のお話から明らかになりました。

ぜひこれから働き方改革やテレワーク移行を検討されている地方企業様は今回の話を参考にしていただけましたら幸いです。

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次回のオンラインセミナー は1月を予定しています。

詳細はHPやSNSでお知らせしますので、ぜひチェックしてください!