最新のお知らせ イベント 2022.05.18

at Will Work 活動振り返り&運営ノウハウ共有シリーズレポートvol.2〈働き方を考えるカンファレンス前編〉

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2017年に設立した一般社団法人at Will Workは"働き方を選択できる社会"を目指しこれまでの5年間活動してきました。

at Will Workは設立当時、活動期間を5年と定め活動していたため、2022年5月をもって解散いたします。

そこで、少しでもこれから一般社団法人を立ち上げる方や、イベントを開催する方の参考になればと思い、この5年間で私たちが培ったノウハウや考え方を公開させていただくことにしました。

at Will Workの理事が座談会形式で各テーマについて語ります。

今回のテーマは〈働き方を考えるカンファレンスについて〉。

at Will Workのメインイベントである働き方を考えるカンファレンス。開催における工夫や登壇者の人選、集客など様々な角度からお話しします。

▼動画はこちらから

https://youtu.be/NxQmM5G8OOI

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毎年のカンファレンスのテーマ設定について

猪熊:働き方を考えるカンファレンスのテーマは毎年設定していました。それぞれのテーマごとにビジュアルも作っていて、テーマを決める時はカンファレンスの1年前に毎回合宿をしていましたね。

藤本:毎回カンファレンスやっている間に私の中で次こうしたいというアイデアが生まれて、それをもとにみんなで合宿をして次のテーマを決めていきました。2〜3年目ぐらいになってくると、参加した方からの声も取り入れて検討を進めていきました。でも第一回目の「働く、生きる、そして」に辿り着くまでが特にすごく大変だった記憶があります。私だけかな?全然決まらないんだけどっていう(笑)

猪熊:一番最初のテーマが一番広かったですもんね。 社会もまだ働き方に関して流れはあったけど動き出してはなくて、私たちもどこから着手すべきか定まっていないという感じでした。

小さなところにこだわりもあって、「働くを定義∞する」の時は定義の後に無限大マークをつけたんです。定義って何か決まりきってしまうというイメージがありますが、そうじゃなくていろんな定義があり、それを理解していくという意味で無限大をつけなければいけないんじゃないかということになりましたよね。あとは、「働くをひも解く」のひもは漢字なのかひらがななのかなど結構細かいところまで議論したなという思い出があります。

松林:ここのテーマ作りが一番重要ですよね。テーマを長く何度も議論していましたけど、これがある程度決まって理事の中で共有化できていたらその後のセッションや作り込みはそんなに共有しなくても少しのすり合わせで出来るので最初の部分を決めて走るというのはすごく重要ですよね。

猪熊:テーマ設定は優先順位を一番高めていましたよね。2020年の時は対象者を絞って経営陣だけを呼ぶ、あえて小さなカンファレンスにしました。それもテーマに基づいて設計を行っています。もし600人の イベントをするということを優先に置いていると、おそらくこの時人数を絞るということはできなかったと思うのですが、そうじゃなくてまずはテーマを最優先にしてそれを元にイベントの設計やスポンサーさんへのご案内などを考えていったというは私達らしいやり方かなと思っています。

この大きなテーマが決まると、あゆみさんの中でこの人に話して欲しいというのが決まっていたり、セッションごとの内容から理事会でこういう登壇者の方を入れたらどうだろうと議論したりして、各セッションの内容と登壇者の方を決めていきましたね。

藤本:あと、毎年違う方に登壇していただくということを目標として決めていました。以前に出ていただいたことのある方の方が話はスムーズなんですけど、働き方の話ができる人を毎年発掘しようっていうのを私のミッションとして置いていましたね。

最後の五年目だけはこれまでの登壇者の方にもう一度集まってお話していただくというスタイルに変えましたが、四年目までは基本的に毎年新しい人に出ていただいていました。

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猪熊:登壇者の方が、「今まであまり登壇などをしたことがなかったのに、at Will Workのカンファレンスに登壇すると、働き方の専門家としていろんなメディアからお声がかかったりイベントのご依頼が来たりしてブームが来る」と仰ってました(笑)

藤本:セッションは、基本的には話したことがない人を組み合わせるということに力を注いでいました。実はそこから登壇者同士の仕事が始まっていたり、プロジェクトが始まっていたりということもあって、私たちとしてはそれも良い財産だったなと思います。

松林:これも働き方の選択肢を増やすと決めたことと繋がっているんですけど、一個の答えを求めるというよりは、いろんな議論を見たいと思っていて、労働時間一つとっても賛成・反対、両方の人が登壇していたりするのがすごく面白がられました。

カンファレンスは基本答えが決まっていてそこに導かれていくというものが結構多いのですが、あえて意見自体が違う人を一緒にしたりしていましたね。

日比谷:この活動をし始めたおかげで、働き方に関して一言言いたい人とか働き方に関して先進的なことをやっている人とか日々接する人の中でこの人は登壇を打診してもいいかもしれないというのを常に考えていた5年間でした。

藤本:あらゆるニュースに目を通してこの人いいかもしれないっていうことを繰り返してタレント発掘みたいな感じでしたね(笑)

カンファレンスで行った様々な工夫について

猪熊:これもあゆみさんが言いだしっぺで始まった事なんですけど、1年目からグラフィックレコーディング(以下、グラレコ)を取り入れていました。

藤本:1年目の時はカンファレンスでグラレコを取り入れているところはまだどこもなかったです。きっかけはニューヨークの不動産業界のカンファレンスに参加した時なのですが、横でずっと絵を書いているお兄さんがいて、何なんだろうと思っていたら、さっき話してたことが全部絵になっていたんです。それがグラレコで、どこかで絶対やりたいと温めていました。

なぜグラレコを取り入れたかったかというと、カンファレンスで同じ時間のセッションに参加者が分かれた場合、A 会場の話を聞いていると B会場の話を聞けないんですね。でもどっちも参加したいと思えるセッションをこちらとしては組んでいる中で、グラレコがあれば話した内容が全部まとまっているので参加者にも集中してセッションを聞いてもらえて、なおかつ参加できなかったセッションの内容も把握することができます。

そんな時に、別の機会で落書きのワークショップをやっていたタムラカイさんと出会い、「グラレコできますか?」と聞いたらできますと言ってくださったんです。

初めはタムラカイさんの所属するグラフィックカタリスト・ビオトープの皆さんにご参加いただき、ビオトープの皆さんもグラレコ初挑戦の中で一緒に作り上げていって下さいました。

グラレコが出来上がると順番に 虎ノ門ヒルズの廊下に出していくのですが、そこの写真を撮っていく人がすごく多かったんですよね。思っていた通り、出れなかったセッションがこれで分かるということでみなさんすごく喜んで頂いたので、これは毎年やろうと。

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藤本: カンファレンスが毎年進化していく中で、最初のボードのグラレコからデジタルかつリアルタイムで見ることができるグラレコになるなど、グラレコチームもすごく進化をしていて、毎年今年はこんなふうに進化したんだっていうのを楽しんでいました。

猪熊: 2021年にはオンラインホワイトボードツールmiroを導入して皆さんがコメントをオンライン上で書けるようになり、さらに新たなチャレンジが加わりましたね。

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藤本:miroはグラレコチームに「やりませんか?」と提案してもらいました。今までは出来上がったグラレコを見てもらうだけでしたが、miroが入ることによってプラスアルファ参加者もそれに対してリアクションできるようになったというのが大きかったなと思います。当日はすごく盛り上がりましたね。オンラインで参加者のエンゲージメントを計ることがすごく難しい中だったので、そこがmiroで見える化されたのはすごくグッと来ましたね。

猪熊:カンファレンス自体はオンラインに移行していきましたが、オンラインにしようと私たちが決めたというよりは、コロナ禍で切り替えざるを得ない状況でした。今までずっとリアルでやってきましたが、2020年2月のカンファレンスをオンラインに切り替えると決めたのは開催の2日前でした。オンラインになる可能性は考えていましたが、決めきれないところがあって最終的に直前でオンラインに踏み切りましたね。 この時のこと、どうですか。

藤本:覚えてますよ。私は直前まで出張に行っていて、ドイツでこの話をずっとしていました。当時はリアル開催の選択肢もギリギリ残っていたのですが、マスクや消毒液がとにかくない時で、その中で皆さんに来ていただくことはできないし、例え準備ができたとしても、会場にたくさん人を入れてというのは危ないのではないかということをずっとディスカッションしていた記憶があります。

日比谷:本番の日がちょうど政府が大規模イベントの制限を出した日だったんですよね。

藤本:本当は当時の加藤厚労大臣が来る予定だったのですが、そのタイミングが重なって来ることができなくなって、一番大変な時だったなというのは思います。

日比谷:僕らとしてもリスクは取りたくないけれど、なるべくいい形でやりたいというせめぎ合いがあって、どこに基準を置いていいかと悩みましたよね。世の中のほとんどのイベントが決行するか中止するかのどちらかで、オンラインに切り替えているところはほぼありませんでした。政府の動きや他のイベントの動きを見て土壇場でオンラインに決めた感じでしたね。

藤本:イベントの運営を担当してくださったホットスケープさんが「やれます」と言ってくださったのが判断できたポイントだなと思っています。ホットスケープさんもオンライン配信の経験や実績がたくさんあった訳じゃない中で、「チャレンジできる環境があるのでやります!判断はお任せします」という風に委ねてくださったのはすごく心強かったなと記憶しています。 それがなかったら私たちがどれだけやりたくてもできないですし、一緒に伴走してくださるパートナーの方たちがここは新しいことにチャレンジしましょうと背中を押してくれたのもすごく大きかったなと思います。

猪熊:2021年は初めからオンライン想定だったので、登壇者の皆さんも現地に来てくださる方もいればオンラインで参加される方もいて、セッションごとに、リアルとオンラインでの登壇者が入り混じっていましたね。

また、コロナ前のリアルの時はワークショップやファイヤーサイドチャットというものもやっていました。本セッションに登壇してくださった人たちが会場の外に出てきて参加者の皆さんとお話しできる場を設けました。これはタイムスケジュールがかなりやばかった覚えがあります(笑)

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藤本: 最後にネットワーキングの場はあるんですけど、名刺交換の列がすごいことになっていたり、朝のセッションで登壇した方は夕方まで残っていただくのは難しかったりして、その中でもう少し話したかった、質問したかったというお声がありました。それを解決するためにファイヤーサイドチャットを始めました。

同時並行で行うセッションの進行が本当にやば過ぎて、運営自体はかなり大変でした(笑)でも、参加者の方にはとても好評でした。運営は大変ですけど、コロナが終わったらファイヤーサイドチャットはぜひおすすめしたいなと思っています。

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at Will Work 活動振り返り&運営ノウハウ共有シリーズvol.2〈働き方を考えるカンファレンスについて 前編〉をお読みいただきありがとうございました。

次のテーマは、〈働き方を考えるカンファレンスについて 後編〉です。

こちらより各テーマの記事をご覧いただけます。

▼vol.1〈at Will Work設立&広報戦略について〉

https://www.atwill.work/information/on-demandmovie_setsuritsu/

▼vol.3〈働き方を考えるカンファレンスについて 後編〉

https://www.atwill.work/information/on-demandmovie_conference2/

▼vol.4〈Work Story Awardについて〉

https://www.atwill.work/information/on-demandmovie_award/